計算できない恋愛




「じゃあね、先輩」


王子がそう言うから私もそれなりの笑顔を作って何も言わずに少し頭を下げる。


すると、頭の上に温かい感触が降ってきた。


驚いて強張った身体のまま視線だけを持ち上げると王子の手が私の頭に向かって伸びている。


そのまま私が何か言う前に王子は来た道を帰って行ってしまった。


17才にもなって、誰かに頭を撫でられる事でこんなに嬉しい気持ちになってしまうなんて思いもしなかった・・・


私は王子の手の平の優しい感触が忘れられず、しばらくそのまま家の玄関の前で立ち尽くしてしまっていた。



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