「あ、篠原くん、私の家もうすぐそこだから」 そう言って立ち止まると、王子も合わせて立ち止まった。 「今日は、こんな所まで着いてきてしまってごめんなさい」 ペコリと頭を下げる王子。 「こちらこそ、わざわざ有難う」 何となく私も素直にそう言えた。 涼しい風が吹いて、木々の葉を揺らす。 まるで映画みたいに綺麗な緑の葉が何枚か散って、ひらひらと舞い降りた。 まだ日は沈む気配を見せないが、徐々に気温は下がりつつある。 生ぬるい風が何故だか心地良く思えた。 .