計算できない恋愛




ふとした瞬間に何故だか急に彼が可愛く見えた。


かっこつけたりしているが、私が話す度に真剣な表情で私の目を見て聞いてくれるし、私がどんなにつまらない事を言っても笑ってくれる。


それにふとした瞬間に目が合うと、たまに頬を赤くしたりしている様にも見える。


年は一つしか変わらないのに、何故だか急に彼がとても可愛く見えたんだ。


これが恋愛感情なのかというとそれはまた別の話なのだろうけど、そんなに足蹴にしなくてもいいのかもしれないとさえ思えてくる。



「恭子さん、危ないからこっちに来て下さいね」



大通りに出ると、急に腕を掴んで私を引き寄せた彼は、私と場所を入れ替わる様に車道側を歩いた。


まだ1年生なのに、しっかりしているんだなぁと感心する。


そうこうしている間に愛しい我が家が見えてきた。



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