「ん?先輩、今音楽室ですか?すぐ行きますね!」 そう聞こえたと同時に切れる電話。 頭に疑問符を並べながら辺りを見回したが、廊下には王子の姿は見られなかった。 何人かの生徒が歩きながら談笑している。 放課後特有の構内の騒がしさの中に、心地良い音楽が聞こえた。 ふと視線を移すと、音楽室の戸の隙間から、ピアノを情熱的に弾く音楽教師の横顔が目に入ったのだった。 .