覚めない微熱だけ、もてあましながら

今回麻里にホームパーティの話を持ちかけられた時も、一度は断った。自分のせいで場が盛り下がったら申し訳ないし何より自分の居場所がなくなるんじゃないかと思うと苦痛だったから……。

不安だったから……。

とにかく、一番苦手なシーンが今だから……。

ボケーッと突っ立っていた愛子を麻里が手を引っ張る。


「愛子、どうしたの?」

「……え?あぁ……なんかすごいね、お料理がいっぱい。麻里が全部一人で作ったの?」

「当たり前でしょ? 他に誰が作るっていうの? 誰も手伝ってくれる人なんかいないんだからぁ」


そう言って麻里は腕組みをしながらため息をついた。


「もう、ため息しないでよ。麻里の悪い癖」


那奈子が言う。麻里は適当に返事をし


「じゃあ全員揃ったところで乾杯しましょうか」


麻里の掛け声に、それぞれが好きなドリンク片手に、

乾杯!


「いっぱい飲んで、いっぱい食べてね」