覚めない微熱だけ、もてあましながら

「うん」


愛子は愛想笑いをし、三人はエレベーターに乗り込んだ。

ボタンの “5” を押す。すぐさま上へ引っ張られほとんど会話もなしに目的地に着いた。


ピンポーン!


カチャ……


チェーンをはずす音が聞こえ麻里が出てきた。


「ごめ〜ん麻里。遅くなってぇ」


みかはあまり申し訳なさそうもない謝り方をし、


「下で愛子と偶然会ってさ~」


と愛子の肩を軽く組んで笑っていた。


「も~! みんな来てるよ。早くあがって」

「ごめんね~ほんと」


みかは遅刻してきたにもかかわらず何の悪気もなくズカズカと上がり込んだ。

愛子とまことは、何も言えずみかのあとをくっついていく。

中へ入ると、那奈子、明、裕也の三人がいた。愛子には知らない顔ばかりが軒を連ねていた。知ってる顔は……麻里とみかだけ。知らない顔が二人以上いるとあまり話せなくなる。それは、男女問わずだった。