「俺等、保護者じゃねぇし」

永倉が笑う。

「平助、相当桜夜ちゃんが気に入ったみてぇだな」

原田がニヤニヤしていた。

沖田はポンと二人の間に藤堂を投げると

「もう結構な時間ですから桜夜は休ませますよ」

そう言って桜夜を連れて広間を出た。

「過保護なもんだな」

遠くから見ていた土方が呟いた。

部屋に戻る沖田と桜夜。

「助かったよ。ありがと。でも、近藤さんに挨拶してかなくてよかったの?」

「大丈夫ですよ。もう酔っぱらってるので、言っても無駄です」

部屋に着くと沖田は布団を敷いた。

「私はまた戻りますが、先に寝てて下さいね」

沖田の机に置いておいた腕時計を見ると午前一時を過ぎていた。

「もう一時だよ。皆、いつまで飲んでんの?」

「さぁ、分かりませんね。遅くとも朝には終わりますよ」

朝って…オールじゃん。

「一人で眠れますか?不安なら眠るまでは居ますよ」

「ううん。平気だから戻って。少しだけ襖は開けといてもいい?」

「ええ。じゃ、私は戻りますね。おやすみなさい」

「ん。おやすみ」

少しだけ開いたままの襖から月明かりが部屋を照らす。

桜夜は眠りについた。

沖田が広間に戻る途中で土方に会う。

「問題児は寝たのか?」

「ええ。明日から仕事もありますからね。土方さんはこんなところでどうしたんですか?」

「残った仕事があるからな。そいつを片付けて寝る」

土方は自室へ向かい、沖田は広間へ戻ろうとした。

その擦れ違い様に土方が小声で話す。

「芹沢には絶対に会わせるなよ」

そのまま土方は消えていった。

―芹沢さん…確かに危険ですからね―

沖田が広間に戻ると酔い潰れて寝る者が多くなっていた。

―戻る事もなかった様ですね―

そのまま部屋へ引き返した。

少し開いた襖から桜夜の寝顔が見える。

音を立てずに部屋に入ると、桜夜の隣に敷いた布団に入った。

―おやすみ、桜夜―

桜夜の髪をそっと撫で、沖田も眠りについた。