桜の下で ~幕末純愛~

あぁ、やっちゃった…。迷惑かけちゃいけないのに、あっという間にかけてるし…。

とりあえずの形で着物を着終え、今度こそ大人しく沖田を待った。

座ってるだけって苦痛…。一分が一時間に感じる…。総司、まだかなぁ。

しばらくすると外から沖田の声がした。

「桜夜、いいですか?」

やっとだぁ。

「はい」

襖が開くと、目に飛び込んできたのは沖田と沖田に引き摺られていたであろう原田の姿だった。

「あぁ、着物の手直しをしなければいけませんね。左之さん、ここで大人しくしていて下さい」

掴んでいた原田を放すと襖を閉めた。

「全く、何をしているのですか。大人しくしていて下さいと言ったでしょう」

着物を手早く直しながら半分呆れた声で言う。

「…ごめん。座ってるだけって暇過ぎて…」

「はぁ。仕方ないですね。ここは未来と違って何もないですしね」

直し終わると外で待つ原田を部屋に入れる。

「さあ、左之さん」

謝れと眼圧をかける沖田。

「その…。すまなかった」

沖田に相当やられたのであろう、文字通りボロボロになっていた。

さすがに可哀想だよ、これは…。

「いえ、まさか私が居るとは思わなかったでしょうし。その…こちらこそすみませんでした」

ペコリと頭を下げた。

「しかし、何でお前さんは着物を着れないんだ?」

あ…ヤバイ。どうしよう。

沖田に視線をやると、沖田もどうしたものかと考えている様だったが

「左之さん、その話しは後程」

それ以上は聞くなと声で制していた。

「桜夜、こちらは原田左之助さんです。まぁ、悪い人ではないですよ」

「おいおい、悪い人って、そりゃねぇよ」

うん。悪い人じゃなさそう。

「稲葉桜夜です。さっきは本当にすみませんでした。あの…大丈夫ですか?」

しかし、新撰組って結構かっこよくない?

近藤さんは落ち着いた感じでカッコイイし、土方さんは…哲化してるけど、顔はイイし、この原田さんも…


「桜夜、夕餉まで時間がまだありますが…耐えられますか?」

「…耐えます。ってかゆうげって何?」

桜夜の質問に、沖田は笑い、原田は目を丸くした。