桜の下で ~幕末純愛~

「着物を調達せねばならんな」

近藤はどうしようかと首を捻る。

「あのぉ。誰かのお古があれば…」

申し訳なさそうに桜夜が言う。

「なら土方さんが調達できますね」

「何故俺だ」

「あぁ、トシなはいくらでも着物をくれる女子がいるからな」

土方は眉間に皺をよせ、そのまま部屋を出ていった。

「さて、これで着物は問題ないですね」

え?今ので?土方さん、怒って出てった感じだったけど…。

「部屋なんだが…空いている部屋がないのだよ」

空き部屋ナシ?どうするんだろ…。

「それなら問題ありませんよ。私の部屋で。元々そのつもりでいましたから」

「そうか?桜夜殿は?」

総司と一緒?寝るのも?恥ずかしくて耐えられないよ。

…でも、空き部屋がないんじゃ拒否ってる場合じゃないよね。

「あ、はい。お願いします」

「ふふっ。毎朝、大変ですね、桜夜」

沖田は嬉しそうに含み笑いをこぼす。

「…違う起こし方、考えてね…」

しばらくすると土方が着物を二枚持って帰ってきた。

「とりあえずはこれで足りるだろ」

そのまま桜夜に渡す。

土方さん、ホントに持ってきたんだ。

「では、着替ましょう。いつまでも近藤さんの部屋に籠ってもいられませんしね。さ、近藤さんと土方さんは早く出て下さい」

えーっと…総司は?

「総司も早く出ないか。桜夜殿が着替えられんだろう」

近藤が言うと、沖田は“何故?”という顔をしている。

「桜夜は着物を一人では着られませんでしょうから」

あ、そうだ。無理だわ。

「早く出て下さいよ」

沖田は近藤と土方を押し出した。

「さ、早く着替えちゃいましょう」

「あ、あのさ。そりゃ確かに着られないんだけど…」

う゛~。無理だよ。恥ずかしいもん。

「恥ずかしがっている場合ではないでしょう?極力見ませんから。だいたい、桜夜を見ても欲情しませんよ。さ、早く」

「……………」

とことん子供扱いなのね…。

「そこでふてくされてないで下さい」

沖田は桜夜の着替えを始めた。

「さ、できましたよ。土方さんにはお礼を言わなければ。新しい着物ですよ、これ」

え?新品?土方さんが買ってくれたの?