桜夜の言葉に近藤は大きく笑った。

「殺す?何の罪も侵していない、まして女子に?」

「え…?あ、あの…」

そこに土方が割って入る。

「それに、もし、俺があんたを斬ろうとしてみろ、あんたに届く前に俺が総司に殺られてる」

沖田がポンと桜夜の頭に手をやると

「よかったですね」

と笑った。

「ただし、絶対に他の奴等には“みらい”の者だとは悟られるなよ」

土方に睨まれ、思わず声が上擦った。

「はっ、はいっっ」

「トシ、威嚇するもんじゃない。桜夜殿が怯えているじゃないか」

近藤の優しげな声に肩の力が抜けた。

とりあえずは生きてる。よかった。

「しかし、こりゃ何だ?中に何か入ってるぞ」

桜夜が声のする方を見ると土方が桜夜のカバンを開けようとしている。

が、開け方が分からず、今にも引きちぎりそうな勢いだ。

「いやー!や~め~て~!それ、すっごい気に入ってるやつなのにっ。乱暴にしないで下さい!壊れちゃうっ」

急いで土方の手からカバンを奪い取った。

はぁ、セーフ。

「中身は無事ですか?」

沖田が聞く。

「タイムスリップで中身なくなったりする?」

沖田に聞きながらファスナーを開いた。

「さあ?私の場合は手ぶらでしたからね」

財布・携帯・MP・ピルケース

「全部あるよ。バイトだったからそんなに持って出なかったし」

そんなやり取りの脇で近藤は興味津々、土方は興味はあるが顔に出さない様に努めた顔で見ていた。

「ん?何だ?」

クスクス笑う沖田をみて近藤は聞く。

「いえ。私も未来の物を見た時にそんな顔をしていたのかと思いましてね」

総司も初めはすごいびっくりしてたなぁ。

そしてしばらくの間、近藤と土方が桜夜の荷物をいじり、それを沖田が説明していた。

あーあ…幕末じゃ必要ない物にかもしれないけど…。壊さないでほしいなぁ。