「少し稽古します。食べたら動かなくては。箒、お借りします」

沖田が席を立つ。

「あ、はい」

桜夜の返事を聞くとすぐに庭へ行ってしまった。

食べたら休む。じゃないの?突っ込みどころが多すぎるよ、沖田さん。

でも箒で稽古って…ヘンだよね?やっぱり竹刀くらいはあげてもいいんじゃないかな?

あ、竹刀っていくらするんだろ?高かったら私じゃ買えないし。

ネットで調べてみようかな。

沖田はすでに稽古―箒振り―に集中していたので、声をかけずに部屋へ戻った。

桜夜は早速竹刀の金額を調べた。

へぇ。思ったより高くはないんだ。明日、早速買いに行こう。

すんなり調べものが終わってしまい、そのままパソコンを閉じるのも…と思い、深く考えずに【新撰組・沖田総司】と検索してみた。

新撰組って有名だけど、詳しく知らないし、沖田さんに教えなきゃいいんだもんね。

あれ?沖田さんって確か若くして病死?

あった。新撰組。

……………

調べなきゃよかった…かも…

25歳で結核…今じゃ治る病気が昔は不治の病。

沖田さんって今、何歳なんだろう…

若いって40歳とかだと思ってた。どれだけ無知だったんだろう。ううん。今だって何も知らないんだ…

これから顔、合わせづらいな。

気付いた時には六時を過ぎていた。

―コンコン

ドアを叩く音で我に返った。

「はっ、はいっ」

「桜夜さん?」

沖田さん…

私がヘンな態度をとったらおかしいよね。

沖田さんカンがよさそうだし、きっと気付いちゃう。

軽く頬をたたき、気合いを入れてからドアを開けた。

「はい。どうしたんですか?」

「外がだいぶ暗くなってきました。桜夜さん、部屋に籠ったままだったので、どうかされたのかと…。あ、“ぷりん”を私が食べてしまい、気分を害されましたか?」

「プリンでふてくされるって、どんだけよ」

思わず声をだして突っ込んでしまった。

ヤバイ、黒沖田がでる?

「もうっ。人が心配しているっていうのに。“りびんぐ”の“でんき”をつけたいのですが、何処でしょう」

あれ?普通の沖田さんだ。

桜夜と沖田はリビングへ向かった。