桜の下で ~幕末純愛~

二人はお風呂から上がるとリビングへ向かい、ソファーに座った。

…何でだろう。洋服が窮屈に感じる。

初めて着物を着た時には着物が窮屈だったのにね。

美沙子は桜夜にお茶を出してくれた。

こんなところまで気を使ってくれて…。悪いよね。

美沙子が座ったところで桜夜が話し出す。

「何があったか…話すね」

あ…皆の遺品を持ってきた方がいいよね。

遺品…正しいんだけど…私にとっては嫌な言い方…。

「その前にちょっと忘れ物」

桜夜はそう言って部屋に向かう。

机に置かれた櫛・脇差・苦無を持つ。

それだけでも桜夜は泣きたくなってきた。

…私はあの時代を生きて強くなった筈。泣かない!

そう決心をして美沙子の元へと戻った。

再びソファーに座り、テーブルの上に櫛・脇差・苦無を静かに置いた。

「これは何?」

「皆の遺品」

美沙子の顔が曇った。

桜夜はまず、櫛をスッと前に出す。

「新撰組 副長助勤 一番組組長 沖田総司」

そして次に脇差を前に出し

「新撰組 副長 土方歳三」

最期に苦無を前へ出し

「新撰組 諸士調役兼監察 山崎烝」

遺品を愛しそうに見ながら言った。

桜夜は言い終えると一度目を閉じ、大きく息を吸った。

大丈夫。ちゃんと泣かずに話しをできる。

「皆、有名でしょ?」

「ええ」

美沙子はじっと遺品を見つめる。

「形には残ってないけど、他にも沢山貰ったの。皆、いい人達だったよ」

形に残る品物じゃない…それよりも大切な物を貰った…。持ちきれない程沢山。

美沙子は黙って頷いた。

「私は向こうで4年以上暮らしていたの」

思いもよらない年月に美沙子は驚いた。

「びっくりするでしょ?総司の時もそうだったの。こっちに1年居た筈なのに、戻ったら1ヶ月だった。私も同じみたい。私は向こうで19歳になってたのよ」

「そんなに長く…?」

驚くのは当たり前だよね。この後の話をしたら…驚きっぱなしだろうな。

「4ヶ月でこんなに髪は伸びないでしょ?着物だってもう一人で着れるんだよ」

桜夜はタイムスリップをした日から過ごしてきた一日、一日を詳しく話しだした。