沖田の行動にヒヤヒヤしながらプリンを買う。甘党らしい沖田を見て、桜夜はついシュークリームまで買ってしまった。

どうせならちゃんとしたプリン専門店とかで買ってあげればよかったな。

コンビニを出たところで後ろから声がした。

「あれ?桜夜じゃねぇ?」

げっ、この声は…

「哲…」

あからさまに嫌な顔をむけた。

沖田は不思議そうな顔をして桜夜と哲と呼ばれた男を見た。

「何だよ。その顔は。ブスが余計にひどくなるぜ」

ったく。口を開けば悪態ばっか。

―哲―河村哲也。桜夜とは幼稚園から高校まで一緒。いわゆる幼馴染だ。

「哲に付き合ってる暇はないんだよね。じゃ」

あー、早く逃げよっ。

「んだよ、男連れだからってよぉ」

障らぬ哲に祟りなし。無視、無視。

「いいのですか?」

沖田が不思議そうに桜夜に聞く。

「いいんですよ。話したってケンカになるだけだしっ」

「クスッ。仲がよいのですね」

「「どこがっ」」

桜夜と哲が同時に叫んだ。

「ほら、そこがですよ」

沖田が笑った。

「つーか、そいつ、お前の彼氏?」

ホントにこいつの頭の中は…

「違うよ。お母さんの親戚の息子さん。しばらく家で預かってんの」

「へぇ。名前、何ての?俺、哲也。」

「私はおき…」

【沖田総司】はヤバくない?有名すぎるし。せめて【沖田】は変えないと。

桜夜は沖田が名乗ろうとするのを遮った。

「小林総司さんっていうの」

とっさに出たのは美沙子の旧姓だった。

「へぇ。それにしても、お前、女みたいな顔してんな」

哲也は素直な感想を言った。確かに誰から見ても沖田は綺麗な顔つきをしていた。

が、それが沖田には気にくわなかったらしい。

「そうですか?まぁ、確かに。その口よりはまともな顔でしょう」

にっこりと笑う。

目が笑ってない…黒沖田出現…

危険を感じた桜夜は沖田を引っ張り、帰り始めた。

「哲、ホントに付き合ってる暇ないから。じゃあね」

小走りで哲也から離れた。

「おいっ、桜夜」

哲也の声がしたが、無視して沖田を引っ張って行った。