「ふふっ。そうですね。我慢します」

コンビニまではあまり人通りも少ない静かな道だ。

「本当に桜夜さん達の時代は安全なんですね。私の時代では考えられません」

そっか、幕末だもんね。刀を持ってないと自分の命が危ないのか。

でも、この時代だって戦争はあるし通り魔だっている…

「桜夜さん?」

黙っていた桜夜を沖田が覗き込む。

「あっ。いえ。…この時代だって100%安全って訳じゃないですよ」

「ひゃくぱぁ?」

「全部が全部って事です。日本は戦争してないけど、戦争をしてる国はあるし。刀の頃と違って核兵器…一瞬にして数えきれない位の人を殺す事もできる武器があるんです。通り魔って言って歩いてるだけの人を殺そうとする人だっていない訳じゃない。そういう人はほんの一握りの人だけど…。本当の意味での平和ではないんです」

自分で言っときながら悲しくなってきたな。

少し俯いていると、沖田がスッと桜夜の手を取った。

「では、元の時代に戻ったら私はもっと頑張りますね。一握りでもそんな人が居なくなる様に」

あったかくて大きな手だな。

「はい。お願いします」

二人の間に暖かい風が吹いた。

そうしているうちにコンビニに着く。

「これがコンビニですよ」

駐車場に停まっている車を見つけ、沖田は質問したそうな顔をして桜夜を見る。

「…沖田さん、質問は後ですよ。あ、コンビニの中でもガマンして下さいね!」

少し頬を膨らませ、沖田は渋々頷く。

危ない、危ない。マジで不審者連れてる事になっちゃうからっ。

「桜夜さんは何をしに“こんびに”に?」

「あ、プリンを買いに来たんですよ」

「ぷりん?」

昔の人はプリンを知らないんだ。当たり前か。私には耐えられないなぁ~。

「デザート…っと、甘味?って言うのかな?」

沖田の目の色が変わった。

「甘味ですかっ!」

か…顔が近いっ。

「お…沖田さん。近いですっ」

「あ、失礼しました。昨夜、床に着きながら“みらい”の甘味を食したいと思っていたのです」

「沖田さんの分も買いますから。帰ってから興奮して下さいっ」