桜の下で ~幕末純愛~

鎮撫隊は四月に入り流山に転陣。

平隊士達が訓練に出ている頃、いつの間にか新政府軍に本陣が包囲されていた。

その場に残っていたのは近藤、土方と数名の隊士のみだった。

土方が土佐藩士、有馬と面会。

武装解除を言い渡され、本陣へ戻る。

「トシ、介錯を願いたい」

近藤は切腹を決めていた。

「局長が何言ってやがんだ。まだ諦める時じゃねぇ」

土方は近藤を説得した。

「悔しいが…撤退を約束して新政府軍が解放する方に賭けてみねぇか?」

土方は近藤に最後まで鎮撫隊の大久保大和と言い張り、転機を見出だそうとした。

近藤はこれを承諾。

夕方には武装解除し、新政府軍に出頭した。

近藤は板橋へと送られる事となった。

土方は隊を斎藤に任せ、江戸へ向かった。

四日、土方は勝海舟を訪ね、助命を願い出る。

しかし、助命が受け入れられる事はなかった。

「後は大久保大和が近藤さんと見破られねぇ事を祈るしかねぇのか…」

後日、珍しく気落ちした土方は桜夜と沖田を訪ねた。

千駄ヶ谷に行くと二人はおらず、植木屋の主人が越した事を教えてくれた。

土方が二人を訪ねようとしている頃、とうとう大久保大和の正体が近藤勇だと明かされていた。

近藤はあくまでも大久保と言い張ったが、元新撰組、そして御陵衛士となった二人が近藤勇に間違いはないと証言した。

近藤は逮捕。板橋で幽閉となった。

その頃、土方は町から少し離れた桜夜と沖田の元に到着した。

「ここか…」

小さな家。辺りを見回していると桜の花びらが舞い落ちてきた。

―桜?また桜の木が在るんだな。あいつらしい―

花びらが流れて来た方へ足を向ける。

庭の木を見つけると、その木の枝に人が居るのが分かった。

―いつまで経っても猿だな―

土方はフッと笑うと木に向かって歩き出した。

「おい、猿」

突然の声に桜夜はビクッとなる。

そして声の主を見ると木から落ちそうになった。

「ひじぃ…っかたさん?!」

どうしてここに…?

呆然としている桜夜に土方が言う。

「いつまでも見下ろしてんじゃねぇよ」

「………本当に土方さんですか?」

「俺の偽者がいんのかよ」

例え偽者でもひじぃが二人もいたら堪んないよ…。