伊東は酒を呑み、次の約束を交わすと亥の刻には帰って行く。

その途中、待ち構えていた新撰組により襲撃された。

そしてその遺体を油小路七条に放置、これを囮に御陵衛士達を誘き寄せた。

子の刻、一報を聞き付けた御陵衛士達が駆けつける。

そこに黒装束を纏った新撰組が襲いかかった。

永倉、原田は藤堂を探す。

藤堂は先頭を切って刀を振るっていた。

「「平助っ!!」」

二人は叫んだ。

「新八さん?!左之さん?!」

「戻れっ!皆、待ってんぞ!」

「来い!平助っ!」

二人は藤堂を逃がす為、退路を作る。

―俺はまた其処で笑ってていいのか?―

藤堂は一瞬戸惑う。

「「平助っっ!!」」

再び二人に呼ばれ、藤堂は踵を返し走り出そうとした…その時。

ザンッ

藤堂の背中から熱いモノが流れ出す。

「あ…」

そして藤堂は膝から崩れ落ちていく。

その背中には一筋、致命傷と呼べる深い深い刀傷。

「「平助ぇーーーっ!!!」」

永倉と原田は駆け寄ると藤堂を抱え、戦線から離れた。

「おいっ!平助!しっかりしろ!」

原田が藤堂の頬を叩く。

「左之…さ…ん……」

「すぐ屯所で手当てしてやる。堪えろよ!」

永倉は藤堂を抱えようとする。

その手を藤堂が止めた。

「新八さん…無理…だ……。分かん…だろ…」

「無理じゃねぇ!無理…じゃねぇ…よ」

永倉の目からは涙が溢れ出してくる。

「んだ…よ。いい年……した…おっさん…が……」

「平助。屯所へ帰ろう。皆、待ってるぞ。…桜夜ちゃんとも約束したんだ。三人揃って…帰るってよ」

原田も流れ落ちるモノを隠せない。

「桜…夜ちゃん?……じゃあ…帰らな…きゃな……途中で…落とさねぇ…でくれ…よ……」

スルリ、と藤堂の腕が力を無くし地面に向けて垂れ下がった。

永倉が藤堂をおぶり、原田と共に屯所へと歩き出した。

その頃、屯所の門で桜夜は待ち続けていた。

「いつまでそうしてる気だ」

土方が歩み寄る。

「“三人”が帰ってくるまでです」

「お前、知ってたんだな…」

「斎藤さんと繋がるとは思っていませんでした」

土方が桜夜の隣に立った。

「知ってんだろ」

「…はい。でも歴史が変わるって思ってます」

桜夜は真っ直ぐ門を見つめたまま答えた。