桜の下で ~幕末純愛~

桜夜は仕事を一段落させると木の下に座り込んだ。

坂本龍馬か…。あの人が生きてれば皆の先が変わったかもしれないのに…。

「此処じゃ木登りする気にゃなれねぇのか?」

土方が現れる。

「土方さん…。ええ、何ででしょうね?桜がないから…ですかね」

「またその足りねぇ頭で考え事か?」

失礼極まりないんですけど?

「違いますよ。ただの休憩です。あ…最近斎藤さんらしき人を見たのは気のせいでしょうか?」

桜夜は坂本龍馬暗殺の少し前に屯所内で斎藤を見た気がした。

「お前…そこは知らねぇんだな」

「はい?」

「いや、何でもねぇよ。ま、悩みは少ねぇ方がいいだろ」

そう言うと土方は去って行った。

悩みは少ない方がいい…か。少ない悩みが結構ヘビー級なんだけどな。

桜夜は斎藤と油小路事件が繋がっている事を覚えていなかった。

日本史、ちゃんと勉強しておくんだったな。

桜夜は少しため息をついて仕事へ戻った。

斎藤は十日に戻ってきていた。

御陵衛士との間には隊士の移籍を禁じられていた為【山口二郎】と名を変え潜んでいた。

御陵衛士は表面上友好関係を保っていたが、裏では近藤暗殺を企てていた。

元々間諜として送り込まれていた斎藤は情報を掴むと新撰組へ戻った。

斎藤にもたらされた情報により、近藤等は伊東をおびき出し、忙殺する事を決める。

「斎藤くんですか? ゴホッ」

桜夜は昼間の土方の言葉が気になりその晩、沖田に斎藤の事を聞いてみる。

「さぁ…。私はこの通り ゴホッ ゴホ ほとんど寝てますからね」

―土方さんが大体の情勢を教えてくれてはいますが…知らない方がいいでしょうね―

「そっか…」

何か総司にもはぐらかされた感じがするのは気のせい??

そして十一月十八日。

決行の日。

近藤は伊東を妾宅へ招きもてなす。

屯所内は俄にざわつき始める。

おかしい…。新八さんも左之さんも…さっき会った時は普通にしてたけど、何かが違う。

桜夜は頭を捻る。

………油小路事件?!

そうだ!今日なんだ!

これで斎藤さんを見た事も、総司やひじぃがごまかしたのも繋がる!

平助くん…。

桜夜は永倉と原田を探し始めた。