桜の下で ~幕末純愛~

夏も終わりかけた頃。

桜夜が身支度を整えていると沖田が布団から体を起こした。

「おはよ。今日は調子よさそうじゃない」

桜夜が嬉しそうに言う。

「ええ。今日は ゴホ 不思議な位に。団子が食べたいです」

「ホントに?私、今日お休みだから買ってくる!誰かと一緒に行くから心配しないでね」

桜夜は急いで出ていった。

「そんなに急がなくても…まだ店もやっていないでしょうに ケホ」

沖田は苦笑いをして桜夜の去った襖を見つめた。

屯所内を誰か居ないか探し回る。

いないよ…。何で普段は皆無駄に現れるくせに今日に限って見つからないの?

烝くん、天井裏に居ないかな?

「おーい、烝く~ん。いないの~?」

天井に向かって叫んでみた。

「朝っぱらから五月蝿ぇな。何だよてめぇは」

襖が開き、土方が出てきた。

あ…ここ、ひじぃの部屋の前だったんだ。

「すみません」

「山崎を探してんのか?あいつは昨日から居ないぞ」

そっか…。まさか副長にお団子買いに付き合えとは言えない…総司に諦めてもらうしかないかぁ。

「何かあるのか?」

「ええ…いや…あるんですが、ないっつったらナイ?」

「はっきりしろ」

あ、ひじぃイラついてる。

「外に出たくて、誰か探してたんです。誰も見つからないから諦めます」

総司にお団子なんてひじぃには言いにくいよ。

「待ってろ」

そう言うと土方が部屋に入っていく。

「え?あっ、土方さんっ」

土方はすぐに出てきた。

「行くぞ」

スタスタと先に歩き出す。

え~っ。マジで?副長をお供にって…恐れ多いんですけど…。

「ぼさっとしてんじゃねぇよ。俺は忙しいんだ」

だったらいいのにぃ~。

桜夜は急いで後を追った。

屯所を出ると土方の歩みがゆっくりとなる。

合わせてくれてるんだ。私ってばひじぃの鬼の部分を見たことない…。

「で?何しに行くんだ?」

あ…そうだ。

「え~っと…。総司が朝から調子いいみたいで…お団子食べたいって…」

土方は苦笑いをした。

「お前は本当に…。で、金はあるのか?大体こんな朝っぱらから店はやってねぇだろ」

「……………」

桜夜が土方の言葉に固まる。

その様子を見た土方が大笑いを始めた。