桜夜が固まっていると沖田はクスリと笑って体を離した。

「冗談ですよ」

ほっ。すんごいビビったんですけど。

「で?私がどうしたんです?」

見せちゃっていいのかな?でも、これで現代に影響がでるもんじゃない?よね?

握りしめていた携帯をそっと渡した。

「これは?」

「携帯っていいます。遠く離れた人と話したり、手紙みたいに文字が送れます。ネットも見れたり…」

「“かこ”の私には理解し難いものですね。少しは慣れてはきましたが…で、ここに出ている方は?私と同じ“かこ”の様に見受けられますね」

言っていいんだよ…ね?

「あのぉ~。同じ人です」

「え?」

「沖田さんです」

……………

「沖田さん?」

やっぱり固まったよ。まるっきり別人だもんね。

「これが…私…ですか?」

「あ…あの、でも…ほら、えっと…」

どうフォローしたらいいの~。

「これをきちんとした私の顔にするにはどうすればいいのですかっ」

必死だ(笑)そりゃ、そうだよね。

「えっと…知らない…デス」

「………………先に休ませていただきます」

あ、凹んだ。

沖田は部屋に戻ってしまった。

ヤバッ。見せない方がよかったかなぁ~。

つーか、沖田さん、黒かったよ。酷いって?何??

そこに見計らった様に美沙子が現れた。

「桜夜、お風呂いいわよ」

「お母さんっ、逃げたでしょっ」

「ふふっ。だって怖そうだったから」

いやいや、お母さん?

「凹ませちゃったよ」

「あらあら」

あらあら、じゃないっしょ?

「まぁ、仕方ないじゃない?お風呂、入ったら?…あら?桜夜、ピアス?」

あ、沖田さん騒動で忘れてた。

「うん。入学祝。痛くて片方しかできなかったよ」

「まったく。ちゃんと消毒しなさいよ」

「うん。お風呂入ってからやるよ。じゃ、おやすみ」

――長い一日が終わった。