桜の下で ~幕末純愛~

暑い夏が終わり、もう秋がくる。

藤堂が江戸で隊士を募ってくる事となった。

「平助くん、気を付けてね」

「おー。たっくさん連れて来るからな」

藤堂は大きく手を振ると出発した。

たっくさん?これ以上はキツイなぁ。

隊士の数も増えてきて、ナミと桜夜は正直限界だった。

近藤は女中を増やしてくれると言ってはいたが、中々見付からないらしい。

まぁね、人斬り集団と言われてる中に来る人はそうそういないか…。

ボーっとしてる暇なんかないか。

桜夜は山のように積まれた洗濯物に取りかかった。

「まだ男は手伝うなって言いますか?」

洗濯物の山の向こうに沖田が見えた。

「あははっ。登山できそうだよね。こうなりゃ根性だよ。まだ水が冷たくないから手伝いはいらないっ」

「その意地はいつまで続けるのですか?」

そこに満面の笑みをした近藤が物凄い勢いで走ってきた。

「桜夜殿!喜びなさい。決まったぞ」

こ、近藤さん…局長がそんな全力疾走で…。

「決まった?」

「あぁ、新しい女中さん達が決まったよ」

今、諦めてたのに。でもっ嬉しいっ。

「ホントですかっ?で、どんな人達ですか?」

近藤はバツの悪そうな顔をして頭を掻く。

「いやぁ、桜夜殿は年端の近い女子がよかったのだろうがな…まぁ、ナミさんが増えたと思ってくれればいいさ」

「………」

要するにオバチャンだけって事ね…。

ナミさんはいい人だからよかったけど、うちの近所のオバチャン達、キツかったからなぁ。

ねぇ~、あそこの奥さんが…とか、誰の家の子が…とかさ。

まぁ、文句言ってる場合じゃないんだけど…。

でも、若い子ばっかで総司にホレられても困るかぁ。

桜夜はチラッと沖田を見る。

当の沖田はニコニコ笑っていた。

…モテるって自覚ないよねぇ。

チラッと見ていたつもりがいつの間にか沖田を見つめていた桜夜。

「どうしました?」

「うっ、ううん。洗濯終わらさなきゃ」

桜夜は慌てて洗濯に取りかかる。

その脇で近藤は首を傾げていた。