夜の女に恋をした

〔初メールだよん。塚本くん、なかなか外で会うの誘ってくれないから初めてキョウカから誘ってみたよ。ブー。〕


外で会うの誘ってくれない??

キョウカから誘ってみた??

え、俺・・・誘われてるの?

あのキョウカちゃんから。


受信の時間はちょうど15分ほど前。

返事、しなきゃ。


〔誘ってみたってこのメール、誘ってるようには見えないけど?(笑)近々そしたら一緒にご飯でも食べに行こう。キョウカちゃんの好きなもの。〕


我ながら下手だと思う。

文才がなさすぎる。

これが慎吾だったらきっと上手く女心をくすぐるメールを送れるんだろうな。


キョウカちゃんからメールがきたということでえみちゃんに返事をするのを後回しにしていたのでえみちゃんにもちゃんと返事をしておいた。


〔ちょっと立て込んでたんだ。いつだったらえみちゃんは行ける?〕


とりあえず1度近々行かないと怒ってるっぽいし、指定された日に行こう・・。

えみちゃんは鈍感な俺でもわかるくらいのアプローチをくれる。

どんな鈍感な奴でも気付くだろう。

でもそれが作戦だってこともわかってる。


えみちゃんは笑顔だと八重歯が見えて可愛いし、話もおもしろい。

でも25歳で俺より2こ上。

キョウカちゃんは20歳で俺より3こ下。


どっちがいいのかは一目瞭然なわけで、見込みがなくたって悪いけど乗り移るなんてできない。



するとすぐに携帯のバイブが震えた。

キョウカちゃんか!?

そう思った期待は見事に裏切られ、相手はえみちゃんだった。


〔明日、わたし暇なの。まことくんは用事とかあったりする??〕


明日・・か。

しょうがない、先延ばしもこれ以上出来ないし。


俺は明日遊ぶというか食事の約束をした。