夜の女に恋をした

キョウカちゃんは俺の上に乗ったまま携帯の光で顔を照らし忙しそうに指を動かしている。


「できたっ。これキョウカの。メールしといてねっ。」


そう言うと電話帳に登録済みのキョウカという名前。

え、こんな簡単に番号ゲットできていいんですか??


「あ、ありがとう。連絡するよ帰ってから。」

「やだー、今しといてっ。忘れてたらヤだから。」

「あ、うんわかった。」


俺はそう言うとメールアドレスを開いてキョウカちゃんのアドレスに番号と名前を書いてメールを送信した。


「出来たよ。後から見ておいてね。」


「わ~い、ありがとう。」


ちょうどそのとき横から黒服が来た。


延長はしないと伝えると金額を言われ、その金額を財布から取り出して払った。


キョウカちゃんに手を引かれて出口まで行くとそこには慎吾が女の子と喋っていた。


「お、真斗終わったか。帰るぞ。」


笑顔でちょっと手を上げて俺に言うと女の子にもまた来るねと笑顔で言っている。

女の子は慎吾にくっつきながら”絶対来てよぉ~?”と媚び媚び。

そりゃ慎吾はかっこいいし、オヤジ相手にするよりは慎吾のほうが何百倍も何万倍もマシだし嬉しいだろうな。


「塚本くん、気をつけてね。また来てね。」


キョウカちゃんも俺の手を握ったまま言ってくる。


「うん、ありがとうね。」


そう言って俺と慎吾は店を出た。



「今日のツバサちゃんは当たりだったな~。金出して行くのはちょっと気が引けるけどたまにはいいな。」


そんなことを言う慎吾の言葉を聞きながら夜の繁華街を後にした。


秋の冷たさを感じながら。