「あ、今日進路希望〆切じゃない?」 「あ!…出したよー」 「なっかは美術科?」 「うん」 「そっかー」 「ごめん…ちょっと出してくるね」 「はーい」 職員室。 担任の机には、何枚もの紙切れが乗っている。 「…此処でいいのかな」 菜束もその上にそっと紙切れを乗せて、職員室を出た。 思い出すのは、碧の言葉。 ──此処を出る。 「会えなくなっちゃうのかぁ…」 寂しい、と思う。