「田中、凄いじゃないか。今回の模試はどれも偏差値65以上だぞ。
 これなら超難関大も夢じゃないぞ。」

だからなんですか?

別に偏差値とかどうでもいいですし

勉強とかどうでもいいですから。

ただ僕は伊藤真奈美さんに会える時間があれば十分ですから。


「田中、お前は今がのびる時だ。お前ならまだまだできる。
 だから、TVとかは絶対に見るんじゃないぞ。」


殴ってやりたかった。


「田中、お前の将来の夢はなんだ?
 医者か?それとも国を背負う職業か?
 お前ならなんでもできるかもな。」


「フリーターです」

「田中?何言ってるんだお前」

「将来はフリーターになりたいです」

「何言ってるんだ!田中」

「別に将来とかどうでもいいですし、TVとか見れれば十分ですし。」

「バカか!田中、フリーターなんて社会のクズなんだよ」

「じゃあクズでいいです」

「何でだ田中、どうしてお前は・・・」


僕は部屋から出て行った。

すごく悔しくて、悲しくて、怒りがあふれ出てきそうで・・・



あの喫茶店に全速力で行った。

伊藤真奈美さんに会いたかった。