「どうした?」 うつむくアタシの顔をのぞき込む隆志は 不思議そうに 心配そうに 眉を持ち上げる。 もう、自力じゃ止められなくなってしまった涙を隠すように アタシは 隆志とは反対側に顔を向けで黙った。 「なぁ?ユキ?」 ……隆志がアタシの髪に触れた。 隆志の大きな手の指と指の間を アタシの茶色い髪がスルリと抜ける。 ………サワラナイデ。 左側の髪が 隆志の手で 耳にかけられそうになった時 アタシは 彼に背を向けるように立ち上がった。 サワラナイデ… スキデモナイクセニ………。