【実話】アタシの値段~a period~



まだ何も知らずに笑っていたアタシ。


全部、壊したの。


アタシがこの手で。


全部、全部……



大切なものを握り潰した。




あたしはこの時すでに


崖の上に立っていたんだ。



………ねぇマヤ…?





あの頃アタシがもっと大人だったなら




あの悲しい結末を知っていたなら




ここには違う未来があった?





アタシ達は今も



一緒に居られた……のかな…?



アタシはマヤに何をあげられただろう……





今はただそれだけが


気掛かりで仕方ないの。



マヤに救われたこの命の使い道を


アタシはまだ分からずに居るよ。







マヤが居ないと







うまく笑えないの………







――――
――――――――



「…ちゃ…ん…ユキ…きて…」




あたしを呼んでいる声…





もう少し……


もう少しだけ……



夢の中に居たいのに……




幸せだったあの頃の………





「ユキちゃん!起きて!」



腕を強く引っ張られて


アタシは過去の夢から現実に引き戻された。