【実話】アタシの値段~a period~

チャイムがなる。


私は解いた手で心臓を握り


空を見上た。


肺いっぱいに夏の湿った空気を吸い込み


ゆっくりと吐き出す。


今日も澄み渡った空で
自由に鳥が飛び回っている。


羨ましい、と
無邪気に空を仰いでいたのは


いつの頃だったかな。


今はもう妬ましく、憎ささえ覚える。




自由に笑うことさえ



私には許されないというのに。





教室に入ると


ほんの10分の休み時間の間に背中に滲んでいた汗が


エアコンの冷気でいっきに引いた。


ジメジメと暑い外の空気とは一変して、


サラサラとした心地よく軽い空気が流れる。






それと引き換えに



いつも私の戦いは始まった。