【実話】アタシの値段~a period~

ほんの少し考えればその答えなんてすぐにわかる。



今日がアタシの誕生日だったから。


それを知って、隆志はこの場から消えた。


めんどくさかったんだ。


アタシは眠る場所、

隆志はセックス、


ギブアンドテイクな関係に

"二人でお誕生日会"


なんてオプションは含まれてない。



静まり返った広い部屋に


そう言われているような気がした。




『別に、祝ってもらおうなんて思ってないっつーの…』




初めて来た男の部屋


下着姿で独り


家主の居ないリビングで携帯を握る自分が


惨めに思えて仕方なかった。


再びベッドルームに戻り


どうしようか考えたけど



帰る場所なんてない。


アタシはまたベッドにもぐり目を閉じた。





……このまま



間が覚めなくても



構わないのに―…






そう思いながら。