『そうかなぁ…隆志は 相手の幸せを願いますってタイプじゃない?』
「いや、アイツはそう口では言いながら 実際は違いますってタイプだな。」
…やっぱり変だ。
今日の浩介は、隆志に対する言葉にどこかトゲがある。
『ねぇ、なんかあった?』
「別に何もねぇけど。」
…明らかに機嫌が悪い。
やっぱり、浩介に頼りすぎたのかな…。
いつも 同じような事でウジウジしているアタシに嫌気でもさしたのだろうか…。
『浩介はさ、どっち?』
いつも、自分の話しばかりのアタシは
浩介の話しも聞いてあげなきゃ と話しを戻した。
「…どっちだと思う?」
アタシが質問をしてから、なぜか10秒ほど間を置いて。
だけど、その顔は
いつもみたいな笑顔だったから
アタシはホッと肩を撫で下ろした。
『質問しといてなんだけど、浩介は絶対幸せを願っちゃうタイプだね。』
口悪いし、なんかチャラチャラしてるけど
こんな風貌で、いつもコンビニのレジ横にある
募金箱への募金が癖みたいになってる所とか
こんな風に
きっと寝不足の疲れた顔で
それでも、笑顔で居てくれる所とか
浩介はきっと
自分以外の全ての人間を思いやって生きている。
そんな浩介に
誰かの不幸を願うなんて
きっと出来ない。

