『なんでアンタに隆志の煙草の匂いが分かるの?』
前にこの部屋で、二人が鉢合わせた時だって
隆志は浩介の前で煙草を吸って居なかったと思う。
「俺くらいにもなると、自分と違う煙草の匂いは嗅ぎ分けられるんだよ。」
犬みたいだね、と笑ったら
「お前は、そうやって笑ってればいいんだよ。」
と、浩介も笑っていた。
…ねぇ浩介。
いつも、アタシが弱ってる時には
こうやって飛んできて、笑わせてくれるね。
アタシにはもう
アンタが居ない毎日だって考えられないよ。
隆志と同じだけ大切で必要な存在。
愛情の形は違うけど。
「…で、お前はどうしたいの?」
ソファに仰向ける浩介は
煙草の煙で輪っかを作って遊んでいる。
『状況が分かんないから、自分の気持ちもよく分かんないんだ…。
その元カノと、今でも連絡とったり…会ったり…してるのかな…。』

