【実話】アタシの値段~a period~







あのコンビニで出逢った時、


再会、と言った方が正確だろうか。


どちらにしても


俺は、偶然だとか、運命だとか、そんな根拠のないおとぎ話を

信じる質ではないけれど


あの時だけは

マヤとの廻り合いに

そんなおとぎ話を信じてみてもいいと思った。




あの時、雨が降らなければ

あのクラブに踏み入ることはなかった。



あの時、雨が降らなければ

すぐに車を出て買い物を済ませていた。



あの時、雨が降らなければ


彼女とは出逢えなかったかも知れない。




だから俺はあの頃

雨の日が好きだった。




何か、幸せを運んで来てくれるような気がして。







けれど


それから更に3ヶ月後の雨の夜…






忘れもしない



ゆっくりと地を濡らす



あの静かな雨の夜に










マヤは





     死んだ