【実話】アタシの値段~a period~





その日から


俺達が付き合い出すまでに


時間はかからなかった。



「お前、さんざん俺に16歳なんてやめろとか説教したくせに」


ニヤニヤと攻撃してくるトオルも


あの後すぐ、ヒトミと付き合い始めていた。



「やめろなんて一言も行ってないし、説教した覚えもない。」


恥ずかしさを誤魔化す俺に


「まぁ、いいじゃねぇかそんな事。時代はピュアラブだよな~♪」


と 自分から話題を振ったくせに。


俺の肩に腕を乗せるコイツは相変わらずだ。






――――
―――――――



「もしもし?着いたよ。」



「今行く~!!」




マヤとの待ち合わせは

もっぱら、あのコンビニの前だった。



『お待たせ~♪』


路上に停めた車に乗り込んだ制服姿のマヤは上機嫌。


「今日もユキちゃんと居たの?」


こんなに機嫌の良い日は決まって


親友と一緒に居たのだと


そんなことさえ分かるようになった。



『うん、ほら、あそこで立ち読みしてるのがユキだよ♪』


俺の角度からは、スモークのかかった後部座席の窓越しにしか見えなかったが


立ち読みを中断し、マヤに向かって手を振っている女の子が居た。


「なんか、お前ら顔…っていうか、雰囲気?似てない?」



同じ髪型、
同じ髪色、
日本人ぽくない、二重の広そうな大きな瞳。


『最近、良く言われるかも!!』


嬉しそうなマヤは


『でもねー、アタシの目ってカラコンじゃん?ユキは元々、目が茶色くてフランス人形みたいなんだよ♪』



「ははっ、お前だってフランス人形みたいな顔してるよ。
まぁ確かに綺麗なコだよな。」



そんな俺の言葉にマヤは


焼きもち一つ妬かず


『でしょっ!?笑うともっと可愛いのっ!!』



と、自分が誉められたかの様にはしゃいだ。