【実話】アタシの値段~a period~





経緯を話すと


誤解はすぐに解けた。


「16歳はさすがに…」
そんな俺の言葉を真に受けて

トオルは何らかの行動をとったのだろう。



本気になりかけていたトオルに

手を退くようけしかけたのは俺だ。



「そっちも本気だったんだな。」


悪いことしたよ、
と項垂れる俺に


『大丈夫だよ、そういう事なら。』


なるようになるよ。


と、笑う彼女は
安心した様子だった。


『でもさー、歳が離れすぎてる、って友達に言われたくらいで諦めるなんてさー、情けないよね。』


と、ピシャリ。



「いや、そうじゃなくてアイツは素直っていうか…」



ポリポリと頭を掻きながら困っていると


クスクスと笑い始めたマヤが


『そういうタカシさんもいい人だね。』


と、先ほどまでとはまるで違う

優しい目でこちらを見ていた。




『でも、6歳って、そんなに違うー?』




ダッシュボードに肘を乗せて


小降りになってきた空を見上げる彼女の横顔。



彼女が景色に居るだけで

サイドガラスの無数の水滴さえ

キラキラとクリスタルのように輝いて見えた。





「だな…6歳差くらい、どってことねぇよな。」