『凍死すんじゃねぇの?』
彼女の姿を見つけた俺は
彼女の歩く速度に合わせて車を進ませた。
「例えアタシが凍死したってアンタには関係ないでしょ。」
なぜ、こんな拒絶を受けるのかが分からなかった。
「乗れって。」
『ほっといて。』
「いいから、送ってやるから。」
譲らない両者。
雨脚は更に強まった。
「…なに、俺何かした?」
ピタリと立ち止まった彼女。
ものすごく不愉快そうに睨まれている。
『簡単に脚開くと思わないでくんない?』
…はっ!?
「思ってねぇよ!」
そんなことを言われたのは初めてだった俺は
驚いて、ワントーン大きな声で反論をした。
「なぁ、俺ってそんな風に見えるの?」
…ショックだ。
『だってそうでしょ?ヒトミ、さっき電話で泣いてたよ。』
…ヒトミ?
あっ、トオルの…
「ヒトミちゃんが泣いてたのと、俺が警戒されんのと、どう関係あんの?」

