コンビニの入口で
再びモメ始めた二人。
二人が出入口を塞いでいるせいで
出るに出られない、
入るに入れない客達が
その痴話喧嘩の野次馬と化している。
もしここで止めに入れば
俺は家路を急ぐサラリーマン達の、ヒーローになれるのだろうか。
または、彼女のヒーローに。
そんなことが頭を掠めたものの、
この状況でのヒーローは、"野暮"と紙一重だ。
俺はそんな勝負に出るような性格ではない。
………ん?
…なんだ?
フランス人形がこちらに向かって指をさしている。
男が不機嫌にこちらを見ている。
こちら…というか
…俺?
何だよ、と
一人呟いた時、
フランス人形が
こちらに向かって歩いて来た。
男に捕まれた手を
再び振り払いながら。

