煙草の煙を外に逃がすために
車の窓を微かに開けた。
その瞬間に飛び込んできた
『うざいんだけどっ!!』
と、なんとなく聞き覚えのある声。
その声の主は
俺の車の真後ろに。
俺が振り返ってそちらを向いた時、
彼女は土砂降りの中、その相手の手を
まさに振り払う瞬間だった。
言葉どうり、ウザそうに。
土砂降りの中、
眉を寄せ、不快そうに目をしかめても
昨日と変わらず
信じられないほど綺麗な顔。
俺の車の隣を抜けて、コンビニの入口へと向かう彼女と
それを追う
茶髪に小麦色の肌をした男。
彼女が俺の隣を通過する瞬間、
目があったような気がしたが
その視線はすぐに外された。
覚えてないか…。
もう会うことはないだろうと思っていたのに
昨日の今日にして
また会うなんて。
16歳のフランス人形と。

