部屋に充満した重たい空気。 こんなこと言うつもりはなかった。 ―― 隆志にだって、終わった恋の一つや二つ…… さっきは確かにそう思っていたけど 隆志の態度が どうにも引っ掛かった。 "終わった恋" そんな風には思えないほど 隆志の冴えない顔色は 作り笑いじゃ隠せきれていないくらいに。 「なんで貰い物だと思った?」 質問を質問で返すなんて ……やっぱりおかしい。 アタシは あの時計の贈り主が気になって仕方なかった。