【実話】アタシの値段~a period~





…ん?


クローゼットの扉を閉めかけて


アタシは、手と視線を止めた。




部屋ほどではないにしても、やはり殺風景なクローゼットの中の
棚の上に


真新しい、真っ白な封筒がポツンと置かれていた。







……えっと





コレって……








へそくり?




『ははっ』





隆志がなんだかとても愛しく思えて


小さく笑ってしまったアタシは


隆志に逢いたい気持ちを


余計に積もらせた。





クローゼットを閉めて


もう一度リビングの壁を見上げる。



うん。


やっぱり、コントラストが良く似合う。




隆志にも


良く似合う。





あと30分もすれば
隆志が帰ってくる。




アタシは、隆志が喜ぶ顔を何度も思い浮かべては


一人の部屋で


顔が緩んでしまうのを必死に堪えた。