プレゼントに時計を選んだ理由は
他にもあった。
ずっと一緒に時を刻みたい。
……なんて
恥ずかしすぎて絶対に言えないけど
そんな願いを込めた。
『…あれ?』
手に持っている
外した時計へと落とした視線に
アタシは片方の眉を上げた。
…裏に何か書いてある。
アルファベットらしきその文字は
水性ペンで書いたのか、滲んで読み取れなかった。
だけど
独特の丸さを帯びたその文字に
女の字だという事だけは読み取れる。
…やっぱり。
隆志の趣味ではない
この鮮やかな赤い色。
薄々、思ってはいたけど
女からの贈り物だ。

