【実話】アタシの値段~a period~




今日は、隆志の
25回目の誕生日。



生まれてくれた感謝を伝えるために


アタシは内緒で準備したケーキとプレゼントを持って


まだ仕事中の隆志の部屋へと向かっていた。




合鍵を使うのは初めて。


アタシは少しの気恥ずかしさに


心をムズムズさせながら


差し込んだ合鍵を回した。




―カチャ。



弾む胸と足取りで入った隆志の居ない部屋。


隆志の匂いは
今でもこんなにアタシの胸をときめかせる。




閉まったままのブラインド。


今日はきっと寝坊したに違いない。


床に脱ぎ捨てられたトレーナーを拾い上げながら


慌てる隆志の姿を思い浮かべると


また一つ、笑みが零れた。





……おっと。


幸せに浸ってる場合じゃないんだった。



『よーし』



アタシは抱えていた大荷物を解いた。