『アタシはあの頃… 家族も恋人も、大好きな親友まで失ったあの頃ね、 感情を持って生れたことを凄く後悔してたの。 こんな世界に勝手に生み落とされちゃった不幸を どうしても、受け入れられなかった。』 呟くように話すアタシの手首の傷を 隆志の大きな手が そっと包んだ。 「……あぁ、それでも 生きて居て欲しいよ。」 そう言った隆志の 本当の心理なんて アタシには分かるわけもなく…… ただ、アタシのためだけに発せられた言葉だと 疑問なんて 持つわけもなく。