シャワーを浴びる。 さっき寝たオヤジの匂いが身体にまとわり付いて 肌が赤くなるまで何度も身体をこすった。 …大切なものがナイ。 失うものもナイ。 それが良いことだとか、悪いことだとか、そんなことは差し引いて、 アタシにはそれが唯一の、自分を守る手段だった。 幸か不幸か 女に生まれたアタシに 飢え死になんてやってこない。 シャワーのお湯が 床にはじける音を聞きながら ぼんやりとさえ見えない未来に、吐きそうになった。