「有希…よかった…」 ねぇお母さん。 何がよかったの? さすがに捨てた子供でも 死なれちゃ後味悪いって感じ? ねぇお母さん。 私の名前、覚えてたんだね。 ねぇお母さん。 私にまだ、少しでも愛情が残ってるなら ねぇお母さん。 一つだけお願い聞いてよ。 ねぇお母さん。 私を殺してくれない? あぁ頭がぼんやりする。 規則正しいあみだくじのような天井の繋ぎ目を ゆっくりと目で追いながら 私はまた、重たい瞼に逆らうことなく目を閉じた。