「有希ッ!!」 ぼんやりとした白い世界。 そこに居たのは 天使でもなければ、神様でもない。 私を捨てた母だった。 眩しさに慣れた私の目の 黒目の、更に中心の黒色が 徐々に小さな点ほどの大きさになり、映した景色を脳へと運ぶ。 ここは、病院のベッドの上だ。 天国でもなく、地獄でもない。 私は死にそこなった。 ねぇ、地獄で目を覚ました方が私ずっと嬉しかった。 知ってる? この世界は 地獄よりも地獄なんだよ。