「ブランデージンジャー置いてますか?」
今日は呑まないと決めていたが、
それは浩介に余計なことを言わないためだったのだから
たった今から、その必要がなくなった。
俺は、その余計な事を
聞かずには居られなかった。
「なぁ、気を悪くしないでくれ。
アンタ本当はユキの事……」
カウンターに置かれた炭酸の混じったブランデーを
いっきに半分ほど飲み干した俺は
浩介の表情を読み取ろうとしたが
ある意味、この男は
かなりのポーカーフェースだと思った。
普段の様にへらへらと笑い
「隆志くん、ま~だそんなこと言ってんの~?」
と笑って返された。

