「お前は間違ってるよ。」 浩介は煙草の煙りを吐き出し終え、 フェアじゃない、 と付け加えた。 俺は、もう 何を返せばいいのかも分からず 「分かってるさ…」 額に左手を当て あからさまに、ため息を零した。 今更どんな弁解をしようが、言い訳だ。 「まぁ……間違ってはいるけど………」 けど…… そう言ってグラスに浮かぶ氷を指で上からつつきながら 後に繋げる言葉を探すように 黙り込んだ浩介は 「知らない方がいい事もある。」 静かに視線をこちらに向け、そう言った。