「いや、ユキは知らない。 前にさ、会ったことない?て聞いただろ? どうにも気になってたんだけどね。思い出したんだよ。」 「いや…でも俺はアンタに会ったことなんて……」 浩介の言葉を、真っ白な頭で精一杯飲み込みながら まだどこかで諦め切れなかったユキとの未来が 瞼の裏で崩れて行く。 「あぁ、会ったことはない。だけど見掛けたことはあるんだ。」 浩介は 元々、マヤの顔を知っていた。 そして、ある日マヤを見掛けた時、隣りには俺が居た。 そう、聞かされた。