｢お前にも、秘密の一つや二つあるって事だよ。｣
……コイツは知って居る………
そう悟ったが
曖昧なまま、あっさりと認めるわけにはいかなかった。
｢何が言いたい？｣
飛び跳ねる心臓を押さえながら
読めない浩介の表情をジッと見ていた。
｢つまり、その親友に珈琲を教えたのがお前なら
ユキの珈琲癖の根源もお前ってことだよ。｣
そう言って、煙草を一本取り出した浩介は
フィルターをカウンターに向け
とんとん、と葉を詰める。
なぜ知っているんだ…
どこまで知っているんだ…
聞かなければならないことは、たくさんあったけれど
一番に知りたいことがあった……
｢…ユキはそのこと………｣
血の気の引いた手先で
珈琲を口に含んだ。
