浩介に聞いたバーに辿り着く。 目の前に立つと、全身を写し出す、真っ黒な扉は やたらと重かった。 いや、綺麗に磨かれたドアから漏れる ジャズの圧倒的な雰囲気に そう感じさせられただけだろうか。 怪しい外装とは裏腹に、落ち着いた店内。 薄暗い照明。 カウンターには、それよりほんの僅かにだけ明るい照明が施されており そこで、浩介は マスターらしき男と談笑しながら グラスを傾けていた。