とりあえず乗りなよ、と指差す先には
白い大きな車の助手席のドア。
斉藤隆志は、助手席のドアを開けると
運転席側に回り、先に車に乗った。
うながされるまま、アタシも助手席に乗りドアを閉めた。
『…アタシの顔、覚えてたの?』
先に話し始めたのはアタシ。
だって、あんなに人が溢れる街で、斉藤隆志は
「ユキちゃん?」
ではなく
「ユキちゃん!」
と、確信を帯びてアタシを呼んだ。
それも後ろ姿のアタシを見て。
ましてやアタシは、大体の現在地は伝えたけど
コンビニの前に居るなんて、言った覚えもなかったのに。

